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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 それでも、その小さな庭はいつでもよく手入れが行き届いていて、四季折々の花々が群れ咲いている。その庭に懐かしい人の姿を認め、晶は思わず安堵の吐息をついた。
「おばあちゃん!」
 わざと大きな声で叫ぶと、庭で小腰を屈めて花を摘んでいた祖母が振り返った。今でも着物をきっちりと着こなしている祖母は今年もう七十を幾つか越えているはずだが、身のこなしもしゃんとしていて、少しも老いを感じさせない。

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