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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 時折、この海辺の祖母の家を訪れると、板の間に無造作に洋書が転んでいることがあり、晶を愕かせた。 質素な侘び住まいに、いかにも高級そうな原書は不似合いではあったが、昔、祖父から譲り受けたというそれらを祖母は今でも大切にし、すべて読みこなすことができるのだから、たいした語学力である。

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