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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第4章 第一話【空の記憶】~真実~ 

 幸の眼に涙が滲む。亮平が眩しげに幸を見た。
「六日前、初めてお前をここで見つけたときには、正直言って、とても愕いた。亡くなった女房が生きて帰ってきたのかと一瞬、自分の眼を疑ったよ。妻恋しさに、ついに気が狂ったのかとも思った」
 亮平が唐突に、手にしていた百合の花を海に向かって投げた。力一杯放り投げられた白い花はすぐに輝く水面に落ち、波がさらっていった。

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