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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第4章 第一話【空の記憶】~真実~ 

「妻は自ら海に還(かえ)ることを望んだ。息を引き取る寸前、俺に、もし自分が死んだら、亡骸は海に流して欲しいと、まだ見ぬ愛する子ともども母なる海に抱(いだ)かれて永遠(とわ)の眠りにつきたいのだと言い残して逝った」
「そう、だったんですか」
 幸は、亮平に返す言葉を持たなかった。亮平が淋しげな笑いを浮かべて、幸を見つめる。「お前には済まないことをしたと思っている。もし、お前が記憶を取り戻すことがなければ、俺はお前を亡くなった澪の代わりに―、いや」

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