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近くて遠い

第2章 朝の光

──────…

ジリジリ…


目覚ましの音がして、お母さんを起こさないようにすかさずスイッチを切った。


もう朝か…


カーテンの隙間から差し込む光がまぶしくて、私は枕に顔を埋めた。




夢じゃないよね…?


今でも鮮明に思い出せる。長身で細身…キリっとした顔立ちに、雨に濡れた黒髪…


自分の手首を見ると、
カナメさんに掴まれた感覚までもが蘇って来そうだった。



「姉ちゃんっ!」



「ん?おはよう隼人。」



声のする方を向くと、弟の隼人が私の布団の脇にちょこんと座っていた。



「ご飯まだ?」


「あー…
えっと、ごめん今からやるから。顔洗って忘れ物ないかちゃんとランドセルの中確認しなさい。」


そう言って私が起き上がると、隼人は嬉しそうに首を縦に降って洗面所に向かった。

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