近くて遠い
第2章 朝の光
「はい、これ。そこのチーズのせて食べて。」
賞味期限が切れたパンを焼いて、隼人の前に出した。
「ありがとう!」
まだ8歳であどけない弟の笑顔がキラキラと輝く。
この笑顔を見るために生きてるんだって、
そんな風に思えるくらい、大切な弟。
「牛乳…あったかな…」
中身の少ない冷蔵庫を開けると、隼人が姉ちゃんと私を呼んだ。
「何?」
牛乳がない事を確認しながら返事をする。
「あの傘、お姉ちゃんの?」
「えっ……?あ…」
隼人が指を差した先を見ると、少し大きめな黒い傘が玄関に立て掛けてあった。
やっぱり夢じゃなかったんだ…
私は傘を見ながら、昨日のことをぼんやり思い出した。
「お姉ちゃん……?」
呆然とする私を
隼人が怪訝そうな目で見ていた。
「あっ…あれは…借りたの!とても親切な人に。」
本当に親切な人だった。
傍にいるとドキドキしちゃうけど、でも安心するような、素敵な人…
「お姉ちゃんニンマリしてるーー!おもしろーい!」
「えっ!?そんなことないよ!」
ニンマリだなんて…
そんなつもりなかったんだけど…
「してたよぉー!僕見たもん!」
と言って笑顔でパンをかじる隼人。
「もっ、もぉ…いいから早く食べちゃいなさい!」
私は急に恥ずかしくなって、とりあえず着替えようとタンスを開けた。
今日もまたバイト。
少し回り道だけど、
あの商店街通っていこうかな…
ちょっとかわいめの服を手に取る。
やだ、私何考えてんの…
賞味期限が切れたパンを焼いて、隼人の前に出した。
「ありがとう!」
まだ8歳であどけない弟の笑顔がキラキラと輝く。
この笑顔を見るために生きてるんだって、
そんな風に思えるくらい、大切な弟。
「牛乳…あったかな…」
中身の少ない冷蔵庫を開けると、隼人が姉ちゃんと私を呼んだ。
「何?」
牛乳がない事を確認しながら返事をする。
「あの傘、お姉ちゃんの?」
「えっ……?あ…」
隼人が指を差した先を見ると、少し大きめな黒い傘が玄関に立て掛けてあった。
やっぱり夢じゃなかったんだ…
私は傘を見ながら、昨日のことをぼんやり思い出した。
「お姉ちゃん……?」
呆然とする私を
隼人が怪訝そうな目で見ていた。
「あっ…あれは…借りたの!とても親切な人に。」
本当に親切な人だった。
傍にいるとドキドキしちゃうけど、でも安心するような、素敵な人…
「お姉ちゃんニンマリしてるーー!おもしろーい!」
「えっ!?そんなことないよ!」
ニンマリだなんて…
そんなつもりなかったんだけど…
「してたよぉー!僕見たもん!」
と言って笑顔でパンをかじる隼人。
「もっ、もぉ…いいから早く食べちゃいなさい!」
私は急に恥ずかしくなって、とりあえず着替えようとタンスを開けた。
今日もまたバイト。
少し回り道だけど、
あの商店街通っていこうかな…
ちょっとかわいめの服を手に取る。
やだ、私何考えてんの…