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近くて遠い

第16章 朝食の味

「光瑠さん………?」


何かの発作かと思うほど激しく頭をわしゃわしゃさせる光瑠さんを私は目をぱちぱちさせてみていた。


「ひゃっ!」


突然タオルを投げ出すと光瑠さんはボサボサの髪から鋭く目を光らせ、私の手首を掴んで、ブドウをほうばった。



「水っっ!」


乱暴にそう吐き捨てる光瑠さんに、私は怯えながら言われた通り水を差し出した。



光瑠さんはコップを乱暴に掴むとを涙目になりながら、ゴクゴクと水を飲み干した。



あまりに急いでいるので私は目をまん丸くして光瑠さんを見た。


光瑠さんは顔をひどくしかめたあと、再び私に水を要求して一気に飲み干す。


「はぁ……はぁ……」



俯いて、息を切らす光瑠さんがひどく滑稽で私は笑いを堪えるのに必死だった。


こんなに頑張ってブドウ食べてる人初めて見た…



「ぷっ…」



思わず洩れた笑いにも反応せず光瑠さんはぐったりしている。


あんまり落ち込んでいる(?)様子なので、おもしろいのを通り越してかわいそうに思えてきた私は、光瑠さんの顔を覗き込んだ。



「きゃっ!!!」


ギロッと睨み付けられたと思ったら、光瑠さんは私を持ち上げて、自分の片膝に私を乗せた。



「お前っ、分かっててやってんのかっ!!」


強い力で腕を掴まれ身動きが出来ないほどの勢いで光瑠さんは凄んだ。



「わっ!えっ……!何がですかっ?!」



「っ…もういいっ!腹が立つ!!」


訳分かんない!
突然怒り出した光瑠さんは、私の首筋に顔を埋めて、舌を這わし始めた。



「ちょっとっ……ひゃあぁっ…」


突然の愛撫に淫らな声が自分から洩れる。



「やめっ…ひっ…光瑠さん…ご飯はっ…あっ」



頑張って抵抗しようとするが耳を舐められて、あろうことか身体をガクガクさせてしまった。



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