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「悪かった…」



光瑠は真希の額に自身の額をつけた。



「みんな知ってるのにっ…私だけ知らなくてっ…
私なんかどうでもいいのかなって…」


「そんな訳ないだろう…」


今にも溢れそうな真希の涙を、光瑠は落ちる前に親指で拭った。



「………寂しくてっ…光瑠さんが帰るのをこの部屋で待ってようと思ってっ…」



「……それで眠ってしまったと…」



光瑠が真希の言葉に続けると、真希は涙を流しながら首を縦に振って、ごめんなさいと小さく呟いた。



どこにもいないと心配している間に、
真希は俺の部屋に来ていたか…


だったら自分のあの焦りはひどく無駄で滑稽だ…



「ふっ…」


光瑠はさっきの自分を思い出して思わず笑った。


逃げたなんて思った自分はバカだ、

こんなに近くにいるのに…





「なんで笑うんですかっ！」


光瑠の笑いが自分に向けられたものだと勘違いした真希は、光瑠の逞しい身体を泣きながら激しく叩いた。


「いっ…！叩くなっ！」



自分の胸を叩く細い腕を光瑠はすぐに捕らえる。



「だってっ…！」


あぁ…

こいつは…

こんなに俺を夢中にさせて、一体どうするつもりなのだろうか──


「別にお前を笑った訳じゃない…」


それを聞いて、真希は嘘だ！と言わんばかりの目で光瑠を睨む。



でもそれも

光瑠には自分を煽る上目遣いでしかない。


「勝手に部屋からいなくなるな…心配する…」


光瑠は真希を抱き締めながら、さっき飲み込んだ言葉を言った。



「え……？」



「……そんなに寂しいなら毎晩ここで寝ろ…」



光瑠は身体を離して真希を見つめた。



「……いいんですかっ？邪魔じゃ…ないですか？」



そんな、真希の言葉に、
こんなに不安にさせるような扱いを俺は真希にしているのだろうか…

と逆に光瑠は不安になった。


「ただ、俺は帰るのが遅いから、起こしてしまうかもしれない。」