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近くて遠い

第26章 糸の綻び

どうして?

お母さんがこんな風になってるのも、全部全部お父さんの…

お父さんのせいなのに──


「お母さんっ…」



私はお母さんの手を両手で強くギュッと掴んだ。



「まき…の……はなよめ…すが…た…みたかった…なぁ…」



「いやだっ…
やめて…そんなっ」


今すぐ死ぬみたいなこと…


言わないでっ!



「しあわ…せに……なっ……て…ね……」



「なるよ。私幸せになる!!」


顔を上げてお母さんを見ると、

びっくりするくらい

優しい笑顔を私に向けてた。


大好きな


お母さんの顔。








ピ────────


と機械の音が長く響く。


私はこの音が、嫌いだ…







お母さんはゆっくり目を閉じた。




解れた糸が



プチっ…と



切れた。




いや


いやいやいや



「真希様…」


お医者さんが私の肩を叩く。



背後で、愛花ちゃんが泣く声が聞こえた。



お医者さんは腕時計を見ながら、


時間を読み上げた。



「ご臨終で──」



「いやぁぁあっ!!!!!!!!!!!!!」



「真希様っ!!!」




背後から、愛花ちゃん含めたメイドさんが駆け寄ってきて、暴れる私を押さえ付けた。



「いやぁぁあっ!
お母さんっ!!!ねぇ!!お母さん!!!!!!!」


私を置いていかないで!


花嫁姿見たいんでしょ?


ねぇ!!


「起きてよぉ……!!!」


いやだ…お願い…


一人に……


一人にしないで……


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