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近くて遠い

第4章 決意

頭からふってくる少し艶めいた声にハッとして顔をあげた。



キレイ……


スラリとした身体付きに深い紫のタイトなドレス。

変に若作りをするようなメイクではなく、目尻に少し見えるシワまでもが色っぽく見える。



言われなくても、
このお店を仕切っているのが分かった。



「すみません、オーナー。この娘が突然、働かせてほしいと……。」



「ふーーん。」



オーナーは私を品定めするような目で見る。



さっきまで威勢よく声を発していた私だったが、あまりのオーラに怯まず立っているのが精一杯だった。



すると突然、オーナーが私の顎をクイッと上に向かせた。


フワッと香る妖艶な香水に頭がクラクラとした。



「あなた…いくつ?」




「は……二十歳です……」



本当は17であることを隠すため、来る道で何度もウソをいう練習をしたのに…

圧倒されて、私は明らかに動揺した声になってしまった。




びくびくと怯える私を見て、オーナーは、フッと鼻で笑った。




「かわいいじゃない。
拓也、この娘を控え室に連れていきなさい。」



えっ!?




「お、オーナー!?本気ですか!?」


と私と共に驚く男性。



「私がウソを言ったことがある?」



「あ、いえそう言うわけでは…」



たじろぐ男性を一瞥すると、オーナーは私を見て、微笑んだ。

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