近くて遠い
第4章 決意
「桜子。」
え?
オーナーがポツリと誰かの名前を呼んだので、後ろを振り返った。
あれ?
誰もいないけど…
フフフとまたオーナーの笑い声が聞こえ、何がおかしいのかよく分からずに頭を傾げた。
「桜子。
あなたの源氏名。分かった?」
と妖艶な笑みが注がれる。
「げんじめい……?」
「やだ、あなたそんなことも知らないでお水やろうとしてたわけ?」
と言われ、
言葉に詰まった。
「……まぁいいわ。
源氏名ってのは、このお店の中でのあなたの名前。
ここで桜子って言われたらそれはあなたのこと。いい?桜子。」
この店の中での…
名前……
「ほら返事しなさい、桜子!」
「えっ?あ…はい!」
慣れない名前で呼ばれる感覚。
もうあとには戻れない。
私はこの日から、
桜子
として
キャバ嬢デビューを果たしたのだった。
え?
オーナーがポツリと誰かの名前を呼んだので、後ろを振り返った。
あれ?
誰もいないけど…
フフフとまたオーナーの笑い声が聞こえ、何がおかしいのかよく分からずに頭を傾げた。
「桜子。
あなたの源氏名。分かった?」
と妖艶な笑みが注がれる。
「げんじめい……?」
「やだ、あなたそんなことも知らないでお水やろうとしてたわけ?」
と言われ、
言葉に詰まった。
「……まぁいいわ。
源氏名ってのは、このお店の中でのあなたの名前。
ここで桜子って言われたらそれはあなたのこと。いい?桜子。」
この店の中での…
名前……
「ほら返事しなさい、桜子!」
「えっ?あ…はい!」
慣れない名前で呼ばれる感覚。
もうあとには戻れない。
私はこの日から、
桜子
として
キャバ嬢デビューを果たしたのだった。