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「もうすぐ日が暮れそうですね…」


コスメショップの試供品でメイクをし、落ちそうなほど大きくなった目で愛花ちゃんが私を見た。



「用事も済んだし帰ろっか。」


私の言葉にコクンと頷く愛花ちゃんはやっぱり妹みたいでとてもかわいい。


たまにはこうやって愛花ちゃんと買い物に出よう…


そんな風に決めたとき、
肩を叩かれた感触がして、私はクルっと振り返った。



「真希っ！真希だよなっ！」



私はその姿に大きく目を見開いた。



私の人生を


大きく狂わした人物が、目に涙を溜めて私を見つめていた。





「お父さん………」





「あぁっ…
やっぱり真希かっ…よかった…ずっとずっと探してたんだっ…！」


お父さんは見たこともない作業着を着て、ボロボロ泣きながら、私の肩を大きく揺すった。



今さらなんで……



驚きすぎて、私は声が出ずただ肩を揺らされたままだった。



「帰ってきたら家に誰もいなくてなっ……
本当に心配したんだっ…
どこにいるんだ？
お母さんは？隼人は元気か…？」



心配した……？


何言ってるのこの人…？


身体の中でじわりと感情がたぎる。



「真希様……」


脇で心配そうに愛花ちゃんが声を出すのが聞こえる。


お父さんは依然としてボロボロ泣きながら、私の顔を見ていた。


「本当にすまなかったよっ…リストラされて何もかも嫌になっちまってなっ…
なぁ、真希…」



言い訳なんか
聞きたくない…



「なんか言ってく──」



「………っ…らないでっ…」


カタカタと身体が震え出す。


「真希っ…？」


うつ向いた私の顔をお父さんが覗き込んだ。



「触らないでっ！！！」



私は大きな声で叫んで、肩を持つお父さんの手を振り払った。



「真希っ…お願いだ、父さんの話を──」




「お母さんは死んだわっ！！！！！」