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近くて遠い

第4章 決意

あ、
どうしようお盆持ってるせいで足元が…

動きにくいドレスに苦戦しながらフロアに向かおうとしたその時、



「きゃっっ!!!!!」

段差に気付かずにバランスを崩したその瞬間、
フロアから白いスーツの人が出て来るのが目に入り勢いよくぶつかってしまった。



「つめたっっ!」




バシャッとアイスボックスがひっくり返ったのと同じに

低い声が聞こえた。



そして私はそのままステンと前のめりに転んだ。



いったぁ…………




「っ…お前っ…!どうしてくれるんだっ」



「申し訳ありません!」



低い声に体を震わせた私はすぐさま体を起こして頭を下げた。




「冷たいな…ったく、本当に最悪な日だ。金払ってるのに氷をぶちまかれるなんてな。」



淡々としたそのしゃべり方からして、お客が怒っているのがよく分かった。



「本当にすみません!!」


どうしようっ…




「桜子、なんか大きな音がしたけどだいじょ……
あっ、有川さまっ…!」



多分よほど大きな音を響かせてしまったのか、心配そうな拓也さんの声がしたと思ったら、すぐに声音が変わった。





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