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近くて遠い

第4章 決意

「こいつを俺の部屋につけろと言っているんだ!」



低い声で有川様が怒鳴る。


ど、どういうこと?


指名……されたってこと??



「しっ、しかし、桜子はまだ新人でして、まだ一度も接客の方は…」



「こっちは氷をぶちまかれてるんだ。
断る理由なんかないはずだ。」



こっ、怖いっ…


鋭く睨みつけられて、体が膠着した。



「断るのか?」



っ……



目には見えない鋭いものが私の身体を貫いた。




「い、いいえ…」



声を震わせながら私がそういうと、有川様は口角を微かに上げ、ニヤリと笑った。


「酒を作って待っていろ。」



そう低い声で呟くと乱暴に私の腕を離してレストルームの方へ行ってしまった。

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