近くて遠い
第32章 祭り
次の日の夕方、
私はいつもと同じようにバイトを済ませると、足早に家に帰った。
もうすでに隼人は帰っていて、私の帰りを待ち構えていた。
「行こっか。」
私は笑ってそういうと、隼人はうん!!と叫んで遊んでいたオモチャを片付け始めた。
今日はいつにも増して寒い。
風邪を引かないように、少し厚いめのコートを探していると、パンパンに膨れ上がった隼人のリュックが目に入った。
もう戻ってきてから2週間も経っているのに、
まだ荷ほどきがされていない。
なのに…
ダメじゃない、と言ってそのリュックを開く元気がまだ私には無かった。
「早く行こー!」
隼人はぼんやりとしていた私の袖を掴んで引っ張った。
私は我に返って頭を振ると、隼人にコートを着せ、自分の仕度をした。
テーブルには、お父さんの晩御飯とあまり遅くならないようにしますと書いたメモ書きを置いた。
ふぅ、と息を吐くと、
私と隼人はお祭りに出掛けるため、扉を開いた。
扉を開くと、冷たい風が力強く家の中に入り込んだ。
やっぱり、
今日は寒い…
そんなことを思っていると
丁度扉の前に誰かいたようで、目線の先に革靴が見えた。
お父さん?
「おかえ──」
少し早いなと思いながら、顔を上げると、不意に身体を引っ張られて強く抱き締められた。
私はいつもと同じようにバイトを済ませると、足早に家に帰った。
もうすでに隼人は帰っていて、私の帰りを待ち構えていた。
「行こっか。」
私は笑ってそういうと、隼人はうん!!と叫んで遊んでいたオモチャを片付け始めた。
今日はいつにも増して寒い。
風邪を引かないように、少し厚いめのコートを探していると、パンパンに膨れ上がった隼人のリュックが目に入った。
もう戻ってきてから2週間も経っているのに、
まだ荷ほどきがされていない。
なのに…
ダメじゃない、と言ってそのリュックを開く元気がまだ私には無かった。
「早く行こー!」
隼人はぼんやりとしていた私の袖を掴んで引っ張った。
私は我に返って頭を振ると、隼人にコートを着せ、自分の仕度をした。
テーブルには、お父さんの晩御飯とあまり遅くならないようにしますと書いたメモ書きを置いた。
ふぅ、と息を吐くと、
私と隼人はお祭りに出掛けるため、扉を開いた。
扉を開くと、冷たい風が力強く家の中に入り込んだ。
やっぱり、
今日は寒い…
そんなことを思っていると
丁度扉の前に誰かいたようで、目線の先に革靴が見えた。
お父さん?
「おかえ──」
少し早いなと思いながら、顔を上げると、不意に身体を引っ張られて強く抱き締められた。