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近くて遠い

第33章 破壊

イライラが止まらない。


酒を呑んで誤魔化そうとしても、何の効果もない。


目に入るもの全てに腹が立つ。



「いい加減にしろ!」

「ふざけるな!」

「クビだ!」



そんな言葉ばかりを口にしている。



埋まらない心の穴。



紛らわそうと夜の街に再び逃げようとしてもそこにあるのは、真希との思い出だけ。


酒を延々注がせ、


無理矢理に唇を奪い、


契約を吹っ掛けた…


消したい思い出ばかりだ。



一番信頼していた部下が恋に落ちたのも、事故にあったのも、すべて自分のせい──



何故だ?



光瑠は頭を抱えた。



どうしてこんなことになった?

どこで何が狂った?



腹が立つ。



残った権威と金という絶対的な力を光瑠は乱暴に振りかざしていた。



気に入らなければ


排除するだけ…




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