近くて遠い
第5章 母と病
─────…
「お母さん、カバン持つよ。」
「そう…?ありがとう。」
フラフラと頼りない母の肩にかかったカバンを持って、ゆっくりと道を歩く。
夜の仕事を始めてから1ヶ月とちょっとがたち、もらったお金でようやくお母さんを病院に連れて行くことが出来るようになった。
「ゴホッゴホッ…
やだわぁ、久しぶりに歩くとダメねぇ」
「そんなことないよ。
しっかり歩けてるじゃん。」
力なく笑うお母さんに、私は無理やり笑顔を作った。
でも、本当は、お母さんがいうように、その足取りは本当にお母さんなのかと疑うほどフラフラで、私はショックを受けていた。
「ごめんね、病院行くの先伸ばしにしちゃって。」
もしあの時、
カナメさんに持ったお金を
あの人たちに取られなかったら、
こんなにお母さんがフラフラになる前に病院に行けたんだろうか…
「あら…いいのよ、別に。」
そうやって笑うお母さんを見てるのが辛くて、私はそれ以降病院まで黙っていた。
病院についてからの時間はアッという間に過ぎて行った。
診察が終わってしばらく待合室で座っていると、藤木さん、と看護師さんが名前を呼んだ。
「いいよ、私行ってくるから。待ってて。」
無理に立とうとするお母さんを制すと、お母さんはすぐに立つをやめて私に微笑んだ。
「ありがとうね…」
お母さんのホッとしたような顔をみながら私は看護師に導かれるまま診察室に入っていった。
「お母さん、カバン持つよ。」
「そう…?ありがとう。」
フラフラと頼りない母の肩にかかったカバンを持って、ゆっくりと道を歩く。
夜の仕事を始めてから1ヶ月とちょっとがたち、もらったお金でようやくお母さんを病院に連れて行くことが出来るようになった。
「ゴホッゴホッ…
やだわぁ、久しぶりに歩くとダメねぇ」
「そんなことないよ。
しっかり歩けてるじゃん。」
力なく笑うお母さんに、私は無理やり笑顔を作った。
でも、本当は、お母さんがいうように、その足取りは本当にお母さんなのかと疑うほどフラフラで、私はショックを受けていた。
「ごめんね、病院行くの先伸ばしにしちゃって。」
もしあの時、
カナメさんに持ったお金を
あの人たちに取られなかったら、
こんなにお母さんがフラフラになる前に病院に行けたんだろうか…
「あら…いいのよ、別に。」
そうやって笑うお母さんを見てるのが辛くて、私はそれ以降病院まで黙っていた。
病院についてからの時間はアッという間に過ぎて行った。
診察が終わってしばらく待合室で座っていると、藤木さん、と看護師さんが名前を呼んだ。
「いいよ、私行ってくるから。待ってて。」
無理に立とうとするお母さんを制すと、お母さんはすぐに立つをやめて私に微笑んだ。
「ありがとうね…」
お母さんのホッとしたような顔をみながら私は看護師に導かれるまま診察室に入っていった。