近くて遠い
第6章 No.1の逆襲
─────…
「おはようございます。」
「おぉ、おはよう。桜子。」
店をそろそろ始めようという時間、忙しなく拓也さんは動き回っていた。
「なんか、手伝いますか?」
「え?あぁ…大丈夫だから、控えてて!サンキュっ」
そう言って私の肩をポンと叩く拓也さん。
このお店にボーイは4・5人いるが、主に働いているのは拓也さんだった。
若いのに、きびきびと店をマネージメントしていて、なくてはならない存在だ。
「そうですか。なんかあったらいってください。」
「あーうん。
てか、桜子、口紅よれてる。」
ジッと拓也さんは私の唇を見ると、幸ママに呼ばれてフロアの方へ行ってしまった。
えっ……
私は鏡張りになった廊下で唇を確認した。
本当だ…
急いでたから…
この仕事をするまで一切したことの無かったメイク。
見よう見まねで始めたが、何回も幸ママにダメ出しされては、習って…
ようやく慣れてきたところだった。
一回メイクしに控え室に行こう……
私は口元を手で隠しながら、再び控え室へと戻っていった。
扉を開けるとタバコの煙がモクモクと顔にかかる。
何人もの先輩がメイクをしたり髪の毛を盛ったりと、今日の夜も輝こうと備えている。
私はフロアよりもきついこのタバコと香水の混じった匂いが苦手だった。
口紅直して早く戻ろう…
そう思ってティッシュで唇を拭いたその時だった。
「おはようございます。」
「おぉ、おはよう。桜子。」
店をそろそろ始めようという時間、忙しなく拓也さんは動き回っていた。
「なんか、手伝いますか?」
「え?あぁ…大丈夫だから、控えてて!サンキュっ」
そう言って私の肩をポンと叩く拓也さん。
このお店にボーイは4・5人いるが、主に働いているのは拓也さんだった。
若いのに、きびきびと店をマネージメントしていて、なくてはならない存在だ。
「そうですか。なんかあったらいってください。」
「あーうん。
てか、桜子、口紅よれてる。」
ジッと拓也さんは私の唇を見ると、幸ママに呼ばれてフロアの方へ行ってしまった。
えっ……
私は鏡張りになった廊下で唇を確認した。
本当だ…
急いでたから…
この仕事をするまで一切したことの無かったメイク。
見よう見まねで始めたが、何回も幸ママにダメ出しされては、習って…
ようやく慣れてきたところだった。
一回メイクしに控え室に行こう……
私は口元を手で隠しながら、再び控え室へと戻っていった。
扉を開けるとタバコの煙がモクモクと顔にかかる。
何人もの先輩がメイクをしたり髪の毛を盛ったりと、今日の夜も輝こうと備えている。
私はフロアよりもきついこのタバコと香水の混じった匂いが苦手だった。
口紅直して早く戻ろう…
そう思ってティッシュで唇を拭いたその時だった。