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近くて遠い

第7章 接客

─────…


「久しぶりだねっ、お姉ちゃんとご飯食べるの!」


「そうだね。
ほら、ちゃんと座って。」


嬉しそうにはしゃぐ隼人をイスにしっかり座らせると、私はご飯をよそった。



時計に目をやると、19時を指している。


この時間に家にいるのは本当に久しぶり……



「はい、じゃあ食べよ?」


わずかにご飯をよそった茶碗をテーブルに二つおくと、隼人は手を合わせていただきますをして笑顔で食べ始めた。



「おいし?」



「うん!!!」



こういうささやかな幸せが傷付いた私を癒していく…

それと同時に

いつも一人で食べてさせているのかと思うとやはり胸が痛かった。



「お姉ちゃん食べないの?」


ぼぅっとする私をかわいらしい顔がのぞく。



「あ、うん。食べるよ。」


私は軽く微笑み返してはしを持った。




「お姉ちゃん、親切な人に会えたの?」



しばらく経ったあと、隼人がチラと玄関を見ながら言った。



「ん?なに?」



質問の意味がよく分からず尋ね返す。



「親切な人に借りた傘ないから!
会えたから返したんでしょ?」



「あ……」




いつも帰ったら玄関にかけていたグレーの傘。




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