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近くて遠い

第8章 助けと契約

「そいつは俺のものだ!!!!」


あと少しで原田にキスされるところで
怒鳴り声が背後から響き、掴まれていた腕が解放された。



「うぐぅっ!!!」


「大丈夫ですか原田さん!」


え?


ガシャンとグラスが割れる音と共に原田と加山の声がする。


私は怯えながら、瞑っていた目を開けた。



「あっ…有川様っ!?」




目の前には白いスーツを身に纏った有川様の背中と


その足元にうずくまる原田、そして原田にかけるよる加山がいた。




なに!?


これは…どういう状態…?!



「貴様!!原田さんを殴るなんて、一体どこのどいつだ!?あぁ!?」



加山はすごい剣幕で立ち上がると目の前の麗人を睨んだ。




緊迫したその雰囲気に、
フロア全体の視線が注がれる。



「俺が何者だろうが、お前には関係のないことだ。

とにかく、桜子は俺の専属だ。
勝手に触れるな。」



加山よりはるかに背の高い有川様は、凄む加山の胸ぐらを掴んで静かにそういった。



「っ…ナメるなよ!!!!」



顔を赤くした加山が掴まれた胸ぐらを振り払って、右手を大きく振りかぶった。



「危ないっ!」



咄嗟の事に私は思わず声をあげた。



だけどそんな心配はする必要もなかった。



加山の力強い拳は意図も簡単に掴まれ、有川様はそのままグリッと加山の関節を捻った。



「い゙だっ」



悲鳴を上げて倒れこむ加山を

私は呆気に取られながら、ただ見つめていた。

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