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近くて遠い

第8章 助けと契約

床にへたれこむ二人を有川様は蔑むように見下ろした。


あまりにも出来上がりすぎたその光景に、あちこちから溜め息が盛れる。



かっこいい…


初めてお酒に酔っているからなのか、私ですらそう思わずにはいられなかった。


そして有川様が振り返ろうとしたその時、


ずっと動かなかった原田がお腹を抱えてゆっくり起き上がった。



「しぶといな。
ったく、面倒だ。」



そんな原田に全く有川様は動じない。



再び張りつめる空気に一同が息を飲む。




「ふぅ~、全く使えない子分だ」



原田はうぅと唸るだけの加山を見て足蹴にした。



「随分綺麗な顔したお兄ちゃんだなぁ、いや、お姉ちゃんかぁ?」



懲りずに原田は有川様を挑発する。




「まだやられたいのか。」



何もすることが出来ずソファーに座っている私に原田が蛇のような目を向けた。



それだけなのに、
ゾワリと身体に悪寒が走る。



「専属だか何だか知らないけどねぇあの娘は僕らに大金借りてるんだよ。
全然返してくれなくて、本当困ってるんだなぁ。

なぁーおじょーちゃん?」


原田の声が、身体にまとわりつく。



答えに窮した私はただ恐怖と怒りで震えていた。



そんな私を有川様だけでなくみんなが見ている。

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