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──────…

「到着致しました。」


黒い服を着た運転手さんがドアを開けて、私と隼人に言った。



少し恐れながら降りると、あまりに立派な建物と広くて一体どこまで続いているのか分からない庭が目の前いっぱいに広がっていた。



こんな世界が本当にあるんだ…



驚きすぎて声も出ない。




そんな私の隣で隼人は初めての引っ越しにわっきゃしている。



「お母様は先に到着されていますので。」


「あ、ありがとうございます…」

予告通り現れた使いの人たちは、まず三人かがりでお母さんを先に運び出すと、私の指示に従ってテキパキと荷物を選別していった。


やっと治療してもらえる…


そう思うとずっと肩に乗っていたものが一気に落ちた感覚がして安堵で胸がいっぱいになった。




「あなたが、藤木真希様でございますか？」



突然呼ばれた名前に反応して私は顔を向けた。



白髪混じりで優しい面持ちの男の人



何故か私が顔を向けると
驚いたように目を見開いていた。


「はい…そうです。」




私が返事をしてもしばらく私を見て固まっている。



何……？

どうしたんだろう…

「あの……」


応答がないので、声をかけると急に我に返ったように動き出した。



「あっ、失礼致しました。私、ここの使用人頭を務めております、古畑(ふるはた)でございます。
何か用がありましたら何なりとお申し付け下さいませ。」



古畑さんはそういうと丁寧に私にお辞儀をした。



使用人頭……

すごいそんな人まで……




相当なお金持ちだとは聞いていたけどここまでとは…

初めての状況に私は、戸惑ってしまった。



「お姉ちゃん、お母さんはー？」



呆気に取られている私に隼人が尋ねた。