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ギィ──……



「あっ…ちょっと！隼人っ！？」



ドアが開くと隼人が繋いでいた手を振り払って勢いよく中に入っていった。



「なんだ！？この小僧は！」


有川様の叫び声を聞いてまずいと思い、急いで追い掛けると、

眉を潜めて隼人を見つめる有川様が麗しく立っていた。



「親切なヒトーー！
お姉ちゃん、この人とってもかっこいいねぇっ！」



目を丸くする有川様の前で指を指してそういうと、
隼人は有川様のその長い足に抱き付いた。


「すみませんっ！
隼人離れなさい！！」


楽しそうに有川様を眺める隼人の腕を必死に掴んで放させた。




昔から全く人見知りをしないとは言え、あまりに自由な隼人に冷や汗がダラダラと出る。



「なんだその小僧は！」



部屋に入って早々
私の苦手な鋭い目で睨み付けられ私はビクッと身体を震わせながら隼人を自分の後ろへかくまった。




「すみません…この子は弟の…」



「はやとだよ！！！」



と懲りずに隼人が私の背後から出てきた。


「弟………？」


と有川様は隼人を見ながら眉をひそめた。



「ごめんなさい……私もしかしたら、ちゃんと伝えてなかったかも…」



「俺はガキが嫌いだ。
早くそいつをこの部屋から出せ」



なっ…


フッと顔を背けながら有川様はそう冷たく言い放った。


「そんな…大丈夫です！隼人は大人しく…」



「おにいちゃんの名前は？」


私の弁解を無視して隼人が有川様に尋ねた。


「ちょっと、隼人、お願いだから静かに」



「ねぇ！名前！僕は隼人だよ！」


全く言うことを聞かずに、怖いもの知らずの姿勢で隼人は詰め寄った。


有川様を見ると
チッと舌打ちをして明らかにイライラしている様子だ。


「ねぇ！おにいちゃん？」


そんな様子を察することなくしつこく隼人が尋ねる。


「うるさい！！
これだからガキはめんどくさいんだ！
俺の名前は有川光瑠(ありかわ ひかる)だ！
分かったら早くこの部屋から出ろ！」



ついに怒りが頂点に達したのか有川様はすごい勢いで８歳児に怒鳴り付けた。



そんなに怒鳴らなくても…


と隼人が心配になり様子をみた。