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最初で最後の恋

第16章 新たな不安

ーSide by 蓮ー

「早苗っ!!」

俺は数m先でコツコツとヒールを鳴らしながら歩く早苗を呼び止めた。


早苗が振り向くと、ふわりと長い茶色の髪が揺れた。


「蓮…あたしのところに来てくれたんだ。

嬉しい」


にこっと微笑む早苗は、なにも企んでいない屈託のない笑顔だった。


「あのさ…話があって」


「神崎澪のこと?」


いきなりの核心を突かれ、俺は驚く。

透先輩が言うように、早苗は澪になにかしようとしていたのかもしれない。


「そうだ。俺は、澪と付き合ってる。これからもずっと、2人でいたいんだ。

だから…もうお前とは適当な付き合い方はできない」


はっきりと告げた、自分の気持ち。

俺は澪が好きだ。あいつを守るために俺は傍にいようと決めた。

その決意は、変わらない。


「あの子は……


蓮の過去を知っても、一緒にいてくれるかしら」


早苗の一言に、俺は心臓が一瞬止まったようだった。

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