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最初で最後の恋

第17章 柔らかな時間

なんでこんなことを聞くんだろう…?


不思議だったけど、あたしにとって今の神田君は本当に優しい人だもの。

頭を撫でてくれるその手も、柔らかい笑顔も。

なにより、あたしを見る瞳が綺麗だから。


それだけで十分幸せ。


過去は過去。今の神田君は、その過去を乗り越えた人のはずだから。


「……神田君?」


電話越しでまったく声が聞こえないので、あたしは神田君の名前を呼んだ。


「…………


名前で、呼んで?」



「へ?」


突然の返答に驚いた。

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