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最初で最後の恋

第21章 早苗の過去

「早苗!

どうしてこんなことしたの!」


お母さんはあたしの肩を揺さぶりながら叱る。


どうして…どうしてなんて、そんなの知らない。



だってお父さんが始めたことだから。



「ちがう…」



幼いあたしにはそれしか言えなかった。


それで伝わると信じてた。


お母さんなら、あたしのことわかってくれるはずって思ってたのに。



「しばらくおばあちゃんのところに預けるわ。

このままじゃ、早苗がまたいつあなたに手を出すかわからないもの」



祖母のことは嫌いじゃなかったけど、なにより悲しかったのはお母さんが娘のあたしより他人のお父さんを選んだこと。


あたしよりも、お父さんのことが大切なんだ。






あたしの言葉は、信じてはくれないんだ。








あたしは…






愛されてないんだ。

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