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最初で最後の恋

第22章 現実と向き合う

ねむーい授業も終わり、このあと授業のないあたしは蓮の待つ教室へ向かった。


「おまたせ!」


「ん、大丈夫」


2人でゆっくり帰るだけで、それがすごく幸せに感じる。


「あ、そーだ」

駅までの帰り道、蓮ははっと思い出したように言った。

「早苗、実家に戻ることにしたって」

「えっ」

実は早苗ちゃんの一件があってから、あたしは蓮に早苗ちゃんの過去を聞いた。

今はおばあちゃんの家にいるはずだったのに、どうして急に実家に…?


「母親とけじめつけたいってさ。

聞いたら、父親とは離婚したらしい」


離婚……

じゃあ、もう早苗ちゃんと彼女の母親を縛るものはなくなったんだね。


あたしはほっとため息をついた。


きっとこれで、早苗ちゃんも前に進めるはず。

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