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最初で最後の恋

第8章 彼が見たものは

「それを聞いて安心したわ。

蓮、あなたに本気の恋は無理よ。高校のときからあなたを見てきたあたしにはわかる。

そしてあなたを理解しているあたしなら、あなたを癒せる。そうでしょ?」


クスッと微笑んだ彼女は、神田の首に腕を回して自分から唇を重ねた。


「…お前に癒せるわけねーだろ。

なにも知らないくせに。

いいか、早苗。忘れるな、お前も他の女と同じだってことをな」


回された腕を離し、ポンプ室をあとにする神田。そのうしろで、悔しそうに立ち尽くす早苗の姿があった。

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