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詩集

第20章 ~托卵屋~・後章

シュウさんから引き離されたあと、私は彼の精液が子宮全体に馴染むように安静を命じられた

薬と行為の影響で、ふいにぴくりと下腹部が揺れ動く

朝を迎えると私は急に忙しくなる

赤ちゃんの痕跡を見つける尿検査

バイタルに異常がないか調べる血液検査

お尻の穴に器具を入れての子宮エコー

まるで砂金を探すかのように、私の身体を調べ上げる

私も知らない私の身体のプライバシーを身ぐるみ剥いでいく

行為の最中の卵子の場所と精液の広がり

すべてのデータが私の目の前で突き合わされていく

それは別室にいるシュウさんと、その彼女にも公開されていた

プライバシーの関係から、もちろん私と彼らはあれ以来一切顔を合わせることはない

受精が確認されたら、それを元の持ち主の身体に戻すだけ

でも、確認されるまでは、幾つもの試験を繰り返す

まるで飛べないハードルを無理やり飛ばされているかのように

検査室でたくさん水を飲んで

ちょっとでも尿意を感じたらそのまま排泄する

その間もエコーや検証は進む

見つからない、

見つからない、

見つからない…

結局、その日最後のおしっこで彼らの妊娠が確定した

9時から始まった検査が、日をまたぐ直前だった

ではすぐに、ソレを渡してちょうだい

それが彼女の希望だった

大急ぎで手術室に入り、分娩台に腰掛ける

すぐに麻酔がかけられて

私は意識を失った

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