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秘密の派遣業務

第16章 イブの夜

桐沢「…どうした?」

幸せそうに微笑む紗江を見つめる。

紗江「…今凄く…穏やかな気分…」

(…本当は幸せって言いたいけど…桐沢さんの重荷にはなりたくないから…)

自分の気持ちに気づいても…叶う筈はない…

(こうして温かく包み込んでくれる…それだけで私は充分…)

いつか別れる時はくる…

私が…この島を出る時に…

でも………
せめてそれまでは…このままこの腕の中に居たい…

桐沢の腕の中で幸せを噛み締めながら…
いつか来る別れに紗江の胸は切なく痛む。

その思いを振り払うように紗江は身体を包み込む桐沢の腕にしがみついていた。

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