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春の風

第11章 1. reunion

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男は、窓際に立ち、一服した。
彼は微笑んだ。
ああ、やはり徹夜明けのタバコに限る物はない、と思いながら。
今年でその年を迎えるのかと周りが驚くほどに、彼は若々しい。ダンディとは、男のためにあるような言葉かもしれなかった。



『橋本さま。九条のおぼっちゃまから連絡がございました。』

秘書の美しき英語に男は応じる。

「どの?」
『ご子息であられます。ご長男の。』
「春樹が、何だって?」
『近々橋本さまにご面会したいとか。それでこちらにお出ましになられるそうでございます。』



男は、それを聞きながらも頭では別のことを考えていた。休日の今日をどうしようか、とか。大半は別にどうでもいいことかもしれない。

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