私の掏明くん
第12章 掏明のいない日々
千尋「はぁ…」
伸一が出て行き
部屋に一人になった千尋
疲れていたのか横になると、すぐ眠って
しまった
そしてその夜…
千尋「…」
千尋は夢を見た
夢を見てるとわかる夢だった
だけど現実と間違えてしまいそうなほど
リアルな夢で
街中を千尋は一人
当てもなくとぼとぼと歩いていた
千尋「…」
週末、日曜日なのか
周りはカップルや家族連れが多く
一人だけで歩いている千尋が少し浮いて
見えた
すれ違う人も
誰も初めて見る人ばかり
だけど…
千尋「…!!」
ある一組の家族
モデルのようにスタイルの良いお母さん
目のクリッとした小さな男の子
そして…
千尋「…あの人」
子供と手を繋ぎ
幸せそうに笑っている父親
知り合いじゃない、初めて見る家族なの
に千尋は
千尋はその父親に見覚えがあった
知っている、知り合いだった
だって父親は…
千尋「…掏明?」