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私の掏明くん

第12章 掏明のいない日々



千尋「掏明…」


不思議な感覚だった
忘れていた記憶、失われた記憶が
一瞬にして思い出され沸き上がってくる
ような感覚…


千尋「あっ…」


声をかけたい
声をかけ引き止めたい
だけど掏明の名前、本名がわからない
例え呼び止めても掏明はきっと自分の事
はわからないはず
覚えてない、知らないはず


千尋「…」


幸せな家族
優しそうなお父さん
あれこそが掏明の本当の姿で帰る場所
声もかけられず
その後ろ姿を見送る事しか
出来なかった


千尋「…!?」


「あははは、あははは、あはははは」


千尋「誰、誰なの…」


「あははははは、あはははは」


千尋「やめて、やめて、やめてよ…」


正体のわからない笑い声
謎の声がずっと、千尋の頭の中に響き
その場に
うずくまってしまった
すると段々と視界が揺らいでいき
夢は終わった…


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