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私の掏明くん

第14章 辛い現実



千尋「また電話するね、それじゃあ」

掏明「電話終わった?」

千尋「うんっ、ごめんね待っててもらっ
て」

掏明「…待ってる間、考えてた」

千尋「何を?」

掏明「俺の記憶、思い出せないんじゃな
くて思い出さないんだって…」

千尋「何か思い出したの?」

掏明「自殺した瞬間」

千尋「!?」


また少し
記憶を取り戻した掏明
だけどそれは今までのように和やかな
記憶ではなく
自分を殺した、自殺した瞬間という
悲しい記憶だった


千尋「…」

掏明「ごめん、自殺した瞬間の事なんて
聞きたくないよね…」

千尋「聞かせて」

掏明「でも」

千尋「ちゃんと聞くから…」

掏明「…」


聞きたくない
だけど聞く事を選んだ千尋
聞くのは怖いけど怖いのは掏明も同じ
その怖い気持ちを
掏明と分かち合いたかった
一人では辛い事でも二人でならきっと
きっと乗り越えられる
そう思ったからだ


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