私の掏明くん
第22章 辛い記憶
千尋「一緒に来てとは言わない、だけど
家の住所だけは…」
掏明「一緒に行く、行くよ」
千尋「本当に?ありがとう…」
掏明「…」
自分で頭で考え
自分の口で言った事だったが
「家族」という言葉に少し胸が痛んだ
千尋にとって
掏明は恋人であり家族だった
だけど掏明には貴子さんや一輝君が本当
の家族がいる
お互い
気持ちがなくても
戸籍上では夫婦、家族である事に代わり
はなかった
ピンポ~ン(インターホンが鳴る音)
貴子「どちら様ですか?」
千尋「川澄です、東矢さんの病室で一度
会った…」
貴子「…少々お待ちください」
千尋「…」
掏明「…」
東矢の家は千尋の家から
数駅離れた場所にある大きな一軒家
庭には綺麗に手入れされた花がたくさん
咲いていて
小さなベンチやブランコがあり
見た目には何の問題も悩みもない幸せそ
うな家庭に見えた
千尋「…!?」
貴子「お待たせしました」