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不器用なタッシュ

第6章 不安

「きゃは!嬉しいですぅ~!須永さん、指、長くて綺麗ですね~!」


ギュッと握られて、鬱陶しい。


「そうかな…。」


早く離せよ。 


「宜しくお願いしまぁ~す!」


最後に力を込められて、元木の手はやっと離れた。


妙に浮かれて、香織の方に戻って行ったが、然して気にもしてなかった。


それより、その後に挨拶に来たオッサン…梶が俺の前に立った。


「これから、終わりまで宜しくお願いします。君たちの作品への思いが表せるよう、頑張らせて貰います。」


穏やかだけど、力強く言うオッサン…『思い』がって、どんな思いで作りあげたかなんて、本当に解るのだろうか。


南さんは元気に


「はい!有難うございます!」


とお辞儀した。


俺も一応同じく、頭を下げると


「須永くんは…何としても守りたいモノや失いたく無いモノとか…あるかい?」


「はい?」


何でイキナリ俺に、質問すんだ?


オッサンは意味深な視線を投げ付けてきた。

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