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不器用なタッシュ

第14章 発動

「香織……」


呼びかけてみたが、香織は意識を失ったように反応しい。
気が高ぶって、疲れたんだろうな。

またしばらく寝かせておくか。


俺の腕の中で寝ていることが嬉しくて、香織が流した涙の跡に気付かないでいた。


起こさないように、香織の身体を静かにシートに凭れかけさせる。


シートをゆっくりと倒し、身体が冷えないように常備していたブランケットを香織に掛けた。


絵を描いていると、いちいちベッドまで行って寝るのが面倒に思うことがある。

どこでも寝れるようにと、習性で車の中にもブランケット位は置いておいたのが役に立った。


さっきまでと違って、穏やかに寝息を立てている香織をじっと眺める。


「ここにいるんだよな……」


俺たちの絆を永遠に繋げる存在を願うように、香織のお腹にそっと手を乗せた――――。



■□■□■□

「ん……あ……これは……?」

「あぁ……一応、常備してるから」


香織が、目を覚ました――――。


寝起きでまだ頭が働いていない感じで、反応が鈍い。


寝惚けている姿を可愛く思いながら、片手を伸ばして香織の頬に掛かっている髪を指先で払っていく。

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