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不器用なタッシュ

第14章 発動

一緒に進む筈だった『道』が分かれた――――。


なんだよ、何なんだよ!

俺と一緒に、同じ方向へ行きたいって言ったのは香織だろ!

香織がイタリア行きたいって言ったから、俺は――――。


言葉だけでは表しきれない感情が、一気に噴き出してくる。


それは今まで、少しずつ落とされたシミとは違う。


バケツに入った真っ黒なインクを頭の上から、ぶっ掛けられたみたいな気分だ。


俺は怒りで、爆発しそうになった。


そんな俺を香織は強気で睨み返すと、肩を掴んでいた手を振り払って車から飛び降りた。


そして――――。

「さよならっ!」


捨て台詞のように、別れを告げて走り去っていく。


ふっざけんな!!
こんな一言で、終わりに出来ると思うなよ!


「香織! 絶対、連れて行くからな!」


揺るぎない決意と、覚悟を遠のいていく香織の背中に叩きつける。


「絶対……に……」



香織――お前を離さない――――。

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