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不器用なタッシュ

第14章 発動

「ご……ごめん! 帰る!」


気まずくなったのか、覆いかぶさる俺を両手で押し退け、香織は急いで車から飛び降りようとした。


行かせるか――――!


反射的に、香織の肩を掴んだ。


「待てよ!」

「帰る! 離してよ!」

「小田切と、結婚するのかよ!」

「しないよ……出来る訳ないし、小田切さんとはそうゆう関係じゃないって言ったじゃん!」


悔し紛れもあって聞きたくもない問いかけをしてしまったが、香織は苦しそうに顔を顰める。


「小田切さんは、他に大事な人いるんだから!」


は――――『大切な人』?

「え……嘘だろ……アイツ、香織の……」

『こと好きなはずだ』
――――と続けそうになった言葉を慌てて飲み込んで、香織から視線を逸らす。


「小田切さんが……どうしたのよ……」


誰があいつの気持ちを教えてやるもんか!

あいつが何を考えているか知らねぇけど、どの道香織は俺とイタリアにいくんだよ!


「何でもねぇよ……。早く検査しろよ。どちらにしても、イタリア行きの時は籍入れればいいだろ!」

「どちらにしても、イタリア行かないし! 私は嘉之にもう関わらない!」

「香織っ!」

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