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不器用なタッシュ

第15章 対決

沈黙が流れる。


俺が黙って携帯をテーブルに置くと、小田切は少し首を傾げて話しかけてきた。


「嘉之くん……ここの場所、香織に伝えてないけど大丈夫?」

「あぁっ!? あんた香織にここのこと言ってないのかよ」

「言わないよ。何でさ?」


今度は肩を軽く上げてきやがった。


その態度が小馬鹿にされているみたいで、胸糞悪い。


奥歯を噛んで顰めると、小田切は珈琲を一口飲んでから口元に小さく笑みを浮かべる。


「そっか……俺のこと信頼していてくれたのか」


突然何を言い出すかと思ったら、すっ呆けたことをぬかしやがった。


「は? な、んで俺があんたを信頼すんだよ」


小田切が変なこと言うから、調子狂わされて言葉が詰まりそうになっちまった。

こいつがやることなすこと、腹ただしい。


イライラしながら、氷が融けたきったグラスに手を伸ばす。


別に小田切が香織に俺と会うことを必ず報告する可能性が百パーセントあった訳じゃねぇけど――――じゃぁ香織は、ここには来ないのか?

むしろ来ない方が良いのかも――――。


そう思った瞬間、香織と小田切が俺の目の前で笑顔で去っていく姿が頭に過る――――。


途端一気に、視界が真っ暗になりそうになった。

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