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不器用なタッシュ

第16章 切望

小田切と会った翌々日、俺は別の計画を立てた。


どう思われようと、香織を取り戻せるならどんな手でも使ってやる――――。


今日は丁度、安岡が家に尋ねに来る予定だった。


この際、安岡にも一役買って貰うことにする。


ピンポ~ン!

来訪のインターホンが鳴った。


安岡は約束の時間通りに、やって来た。


思えば安岡って、学生時代から時間や約束を破ったことなかったよな。

そして頼み事も、ちゃんと引き受けてくれたりする。

お調子者に見えるけど、根は真面目なんだよな。

だからこそ、今回の計画もしっかりと役目を果たしてくれるだろう――――。


『鍵……開いてるから……』


エントランスのドアを開けて、安岡をマンションの中に入れる。


「よう! 嘉之、元気にしてたか? イタリア行きの準備進んでるの?」


玄関に入った早々、まだ俺の姿も見えていないのに話しかけてきている。


「お~い! 嘉之~って、おい! 何してんだよお前!」


安岡は呑気に部屋に入ってきた瞬間、目に入った異様な光景に一気に口調を変えた。

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