不器用なタッシュ
第16章 切望
パッタン――――ドアが閉まる音が虚しく響く。
俺は一気に脱力した身体を壁に預けると、背中を引きずりながら床に落ちていった。
両足を床に無造作に投げ出して、両腕もダラリと力なく垂らす。
一人暮らしには無駄に広い空間に残されたのは、力尽きた俺と、零れたチューハイとその空き缶。
さっきまで香織と安岡がいた部屋。
思えばここで三人集まったの、初めてかもな。
昔は良く三人で飯食ったり、飲みに行ったりしたよな。
楽しかったな――――。
ほんの三、四年くらい前のことなのに、凄く昔の出来事に感じてしまう。
――――『もう、限界じゃないのか?』
限界? そんなの誰が決めるんだよ。
――――『修復するには無理があるよ』
修復? ちょっと会えなかっただけじゃんか。
――――『今日で、終わりにしろよ、嘉之』
終わり? 何をだ?
さっき言っていた安岡の言葉が、俺には全く理解が出来ない。
俺の人生で数少ない心を許せた奴の言葉が、敵意にしか感じなかった――――。
「俺は香織とイタリアに行くんだよ……俺たちの夢がようやく叶うんだぜ……」
顔を天井に向けて、目を瞑る。
香織と二人でイタリアの景色を眺める光景を想像するだけで、胸が高鳴っていく。
どこまでも、いつまでも、俺と香織は一緒だ――――。
それ以外の未来は、全て排除してやる――――。
俺は一気に脱力した身体を壁に預けると、背中を引きずりながら床に落ちていった。
両足を床に無造作に投げ出して、両腕もダラリと力なく垂らす。
一人暮らしには無駄に広い空間に残されたのは、力尽きた俺と、零れたチューハイとその空き缶。
さっきまで香織と安岡がいた部屋。
思えばここで三人集まったの、初めてかもな。
昔は良く三人で飯食ったり、飲みに行ったりしたよな。
楽しかったな――――。
ほんの三、四年くらい前のことなのに、凄く昔の出来事に感じてしまう。
――――『もう、限界じゃないのか?』
限界? そんなの誰が決めるんだよ。
――――『修復するには無理があるよ』
修復? ちょっと会えなかっただけじゃんか。
――――『今日で、終わりにしろよ、嘉之』
終わり? 何をだ?
さっき言っていた安岡の言葉が、俺には全く理解が出来ない。
俺の人生で数少ない心を許せた奴の言葉が、敵意にしか感じなかった――――。
「俺は香織とイタリアに行くんだよ……俺たちの夢がようやく叶うんだぜ……」
顔を天井に向けて、目を瞑る。
香織と二人でイタリアの景色を眺める光景を想像するだけで、胸が高鳴っていく。
どこまでも、いつまでも、俺と香織は一緒だ――――。
それ以外の未来は、全て排除してやる――――。