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不器用なタッシュ

第17章 強行突破

コツコツコツ――――。


階段を上がってくる音が聞こえる。

多分、香織だと思った。

香織の部屋は二階の角部屋で、俺は三階に上がる階段の途中に身を潜めていた。


そんなことも知らず香織は――――

「ただいま~! なんて」

――――呑気な独り言まで言って、部屋に入っていく。


俺が待ち伏せしていることも、合鍵を作っていつことも、香織は想像もしていないんだろうな。

警戒心がなさすぎだろ。

だから小田切なんかに、付け込まれるんだよ。


香織の間抜けさに少し苛立ちながらも、慎重に合鍵を鍵穴に差し込み、ゆっくりと回していく。


ガチャ――――開いた!


素早く玄関に入り、ドアを閉める。


バッタン――――微かに響いたドアの音に、香織が反応した。


「え……気のせいかな……?」


俺は急いで部屋の中に入っていくと、絵を置いてある部屋から香織が玄関の方に忍び足で戻ってくる。


恐ろしいくらい、計算通りで大声で笑ってしまいそうだ。


その衝動を何とか堪えて、息を潜めて待つ。


そして香織が俺の前に現れた瞬間――――。


「きゃあぁっ!!」


一気に香織の両手を掴んで、勢いのままベッドの上に押し倒した。

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