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身代わり妹

第6章 暗転

<side 凌太>


パソコンの電源を落とし、大きく伸びをする。


もうじき日付が変わる。


あまり遅くまで根詰めると、また母親と美優がうるさい。



……そういう美優は、毎晩バイトしているのにな。



結局渡せないままいる、美優への婚約指輪。


美優を想うと胸が痛む。

なのに同時に笑みが零れる。


傍若無人な姉の美姫とは大違いだ。


美優は、いつだって自分より他人。

恨んでもいいくらいに酷い事を言われされてきたのに、あの母親と美姫の為に自分を犠牲にしている。



だから、

一日も早く美姫の治療法を見つけたい。


一日も早く美優を、母親と美姫から解放してやりたい。


そのために…

美優をあの2人から救い出すために医者になったんだ。


絶対にまた、

美優を俺の腕の中に抱き締める───…。


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