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身代わり妹

第10章 新心

”ごめんね。美優を苦しめ続けてごめんね。

こんな病気に苦しむのは私だけでいい。

私が死ぬ時は、美優の病気も一緒に持って行ってあげるから”



思いがけない姉からの優しい言葉に綴られたメールに、iPadを持つ手が震えるほどに泣けてきた。


(お姉ちゃん…っ…そんな風に想ってくれたの……?)



”美優、ごめんね。お姉ちゃんらしい事してあげなくてごめん。

本当は一緒にショッピングに行きたかった。

たくさん話をしたかった。

仲良くしたかった”



”美優、もしもまた姉妹として生まれる事が出来たらやり直したい。

同じ人を好きになるくらい、気の合う姉妹だったのにね”



お姉ちゃん……っお姉ちゃん!

私も……私も同じこと思ったよ。

もっともっと、普通に話したかったっ……。



”美優、散々苦しめてごめん。今までありがとう。”


姉が亡くなる、3日前のメールだった。



「おねっ…ちゃっ……」

泣きじゃくる私を、お父さんは優しく抱き寄せる。


お姉ちゃん……

私ももう一度姉妹として生まれたい。

今度こそ仲良くしたい。

私の方こそ、

お姉ちゃんに”ごめんね”と”ありがとう”が言いたいよっ。



「最期にこんなに素敵な言葉を残せた。美姫の人生は短くても素晴らしいものになった。美優のおかげだな」

父の声は震えていた。



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