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身代わり妹

第11章 疑心

父を見送り家に入ろうとした時、


「美優!」


呼ばれた方へ顔を向ければ、


「─────っ…お母さん……」


門の向こうから、私を見つめる母がいた。


少し痩せた……?

なんだかやつれて見えるその姿に、胸が痛くなる。



「家にはあげられない……」

凌太と由美さんにそう約束してる。


家に上げたら、きっと居座ってお金をせびられる。

だから、

家には上げられない。



「……母親に失礼ね。でも、散々美優を苦しめてきたんだもの……仕方ないわよね」


寂しそうな母の顔。

その瞳には、涙が浮かんでいる。


姉が亡くなり、母にとって娘と呼べるのは私だけ…

お腹の赤ちゃんが大人になった時、

私がこんな事をされたのならきっと辛い……。



「居座らないで、すぐに帰るって…約束して……?」


気付けばそう言って、母を家に上げていた。



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