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身代わり妹

第14章 誕生

……気を使ってくれたのかな?


部屋には私と、優太を抱いたお父さん。



「美優、よく頑張ったな」

お父さんがベッド脇の椅子に座る。


「可愛いな。俺もおじいちゃんか……」

「4歳の子供がいるおじいちゃん……なんか複雑……」

クスクスと笑う。



「俺は、美姫の時も美優の時も立ち会えなくてな…。

美姫は産声も上げれない仮死状態で、すぐに大きな病院に転院になったりして……あいつも不安だったんだろうな。

行き過ぎではあったけど、過保護になる気持ちもわからなくはないんだ」



そうだったんだ……。

優太の産声を聞いた時の安堵感を思い出す程に、それすら聞けずに引き離された母の悲痛な想いが伝わってくる気がした。



「お母さん、今どうしてるかな?」

いつかショッピングモールで会って以来、ずっと連絡も取ってないし会っていない。


「実家のお兄さん達が面倒見てるらしい。態度の大きい居候状態に頭に来て、自営のお店で働かせたらしいが続かないそうだよ」

「そっか……」


今更あの人を変えるのは大変だろうな。

本人にその気がなければ尚更だ。


でも……いつかお母さんとも笑い合える日が来ればいいな。

優太を抱っこしてくれる日が、来ればいいな。



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