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身代わり妹

第16章 【プレゼント】第一章・宝物

母が凛の両腕を掴み、力任せに引き寄せようとする。

「いちゃいっ! やぁっ、いちゃいーっ‼︎ 」

痛みに泣き出す凛に私が思わず力を緩めれば、泣いて暴れる凛を、母は押さえ込むように抱きかかえる。


「お母さん! 凛を離して! 凛を巻き込まないで!」

凛を抱えて走り出す母に、必死に追い縋る。

母の腕を捕まえれば、物凄い力で突き飛ばされた。


すぐに凌太が母に追いつき、凛を奪い返した。

だけど、

「美姫ちゃん⁉︎ 返せぇ! 美姫ちゃんを返せー‼︎ 」

狂ったように、また凛を取り返そうと凌太に縋る母。


力の差は歴然で、払い除けられた母は芝生の上に転んだ。

その場で泣き崩れる母の姿を思い出す。



「少しずつお義母さんの時間を動かしてやれば、美姫と凛が離れて行くよ」

あの後、凌太はそう言った。


でも、私が怖くて凛を会わせられない。

凛は日に日に姉に似ていく。

凛を姉の身代わりとして取られそうで─────怖い…。



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