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なななのな♪

第99章 慰労。

真希の背後から駆け寄った要は真希を抱き締めて、その真希の瞳を手のひらで覆った。


「っ…別に泣かせた訳じゃ──」


いや待て…

俺が…泣かせたのか…っ?


言いかけてたじろぐ光瑠に要が冷たい視線を送る。



「要さんっ…」


突然手のひらで目隠しをされた真希は驚きながら、要に問い掛ける。


要はそんな真希をチラと見た。


「何をされましたか…」



甘く耳元で囁きながら、久しぶりの真希の感触に必要以上に腕に力が入ってしまう…


このまま僕を選べばいいのに…


そんなことを密かに想いながら───


のつもりだったが…


「ふざけたことをいうなっ!!」


「あっ…」


光瑠の叫びを聞いて要はハッとする。


どうやら、密かに思っていたつもりが口にしていたらしい。


するりと彼女は奪われるのを見ながら、要が珍しくムッとした顔を見せていた。


「真希っ!お前もくだらないことで泣くなっ!言いたいことがあるならはっきり言え!と言っただけだろうが!」


「あっ、えっと…」


我に返った真希は光瑠の勢いに圧されながら、顔を見上げる。

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