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ただ…愛してる

第9章 夜よ明けないで

呼鈴が鳴る


俺は、玄関の扉を少し開けて
覗くと

小さな男の子が
袋を下げてにこやかに
月夜に照らされていた



『だれ?なぁに?』

俺は、屈んでその子をみた


誰かに…似てる



『お母さんがね。お兄ちゃんに
カレーもってけって』


差し出す袋を
受けとる俺



携帯が鳴る

『ちょっと…ちょっとまってなよ』

玄関の扉を開けたまま
携帯を取りにいく



『僕もう行くよ♪バイバイおにぃちゃん』



パタンと閉まる扉に




はなこさんの声を聞いて
飛び出した俺




エレベーター前にいた
男の子の手を握る


『おにぃちゃん?送ってくれるの?』

俺を見上げる
不安そうな顔が…


『エレベーター怖いだろ♪送るよ』

その言葉を聞いて
一気に笑顔になった。


俺達は
その日から友達になった。

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